ニキビや肌荒れ、肌の悩み、気にしていますか?

肌荒れとは?

肌荒れと一言で言っても、肌に起きている症状や原因はさまざまです。ここでは、肌荒れを「皮膚のバリア機能がうまく働いていないことによって皮膚表面に起こる不調」として解説していきます。
皮膚のバリア機能は皮膚の一番外側にある角層がもっており、バリア機能がうまく働くことで体内の水分が外に逃げてしまうことを防ぎ、紫外線や外部からの微生物・病原体など、有害物が体内に入ってくることからも守ってくれています。
では、このバリア機能がうまく働かなくなると皮膚はどういう状態になるのか、具体的に説明させていただきます。

肌荒れの症状(疾患)

バリア機能は角層のさまざまな要素から構成されており、そこに異常が起きると次のような症状がみられるようになります。例えば、

 

乾燥する

赤くなる

かゆみが出る

吹き出物ができる

ゴワゴワと固くなる

皮がボロボロとむける

 

上記のような症状をきたす主な疾患を以下に挙げます。
なお、これらの疾患は皮膚のバリア機能だけが原因なのではなく、他にもさまざまな要因が複合的にかかわって発症することが多いです。

 

肌荒れの仕組み

肌荒れが起きるには、さまざまな要因が複雑に関与し合っています。肌荒れが起きる代表的な仕組みについて解説します。

ターンオーバーの乱れによるバリア機能の低下

まずは肌のバリア機能を構成している表皮の仕組みを解説します。
表皮の一番奥にある基底層というところでは、細胞分裂が盛んに行われており、角化細胞という細胞が生まれています。角化細胞は次々に生まれる新しい角化細胞に押し上げられながら成長し、表皮の一番外側にある角層(角質層)に達して、その後いわゆる「垢」となって剥がれ落ちます。
この角化細胞が生まれてから剥がれ落ちるまでの新陳代謝の期間を「ターンオーバー」といい、その期間は正常な皮膚で約4~6週間といわれています。

ターンオーバーがうまく行われていれば、角層が「バリア」として体内の水分を保ち、外敵が体内に侵入してくるのを防いでくれるのですが、これがうまくいかなくなると、細胞が未完成なまま角層まで到達してしまい、保湿力などの機能が十分ではなかったり、剥がれ落ちるべき角質細胞が剥がれずに残ったままになったりします。このようなことが起きると、皮膚の表面が固くなったり、白い粉をふいたような状態になったり、にきびや吹き出物ができやすくなったりと、いわゆる「荒れた」状態になるのです。
ターンオーバーが乱れる原因にはさまざまなものがあり、加齢もその一つです。加齢によってターンオーバーの周期は長くなり、それによって老化した細胞が角層に長くとどまることに。老化した細胞はバリア機能が低いので、皮膚のトラブルが発生しやすくなります。その代表が皮膚の乾燥です。乾燥がひどくなるとかゆみが出ることもあり、かくことで皮膚表面に傷がついたり雑菌などが入り込んだりしてさらに肌荒れが進行していきます。

皮膚免疫

皮膚が外部からの微生物・病原体の侵入を文字通りバリアしていることは先に解説した通りですが、このバリア機能が崩れることなどによって微生物・病原体が体内に入り、危害を加えるようになると、体内の「免疫システム」がその排除をするために働き始めます。免疫システムの働きの中で、皮膚に炎症反応(充血・腫れ・発熱・痛み・かゆみ など)が起きることがあり、これが結果的に肌荒れとしてあらわれます。アレルギー反応による炎症や湿疹も皮膚の免疫システムの働きの一環です。

 

肌荒れの原因

ターンオーバーがうまく行われなくなることによって、肌のバリア機能の働きが弱くなったり、働かなくなったりして肌荒れが起きるということを解説してきました。では、どんなことが原因でターンオーバーや肌のバリア機能の不調が起きるのでしょうか。これにもさまざまな要因がかかわっています。代表的なものは以下の通りです。

気温/湿度の低下

紫外線

寝不足、

過労栄養不足

ホルモンバランスの変化(生理〈月経〉/妊娠/出産)

喫煙

洗顔/入浴時の洗いすぎ、こすりすぎ

手で触ることによる汚れや雑菌の付着

掻く、こするといった物理的な刺激

心理的/精神的ストレス

このような原因で、肌のバリア機能が低下している状態のところに刺激物(ほこり、花粉、微生物、化粧品、シャンプー、洗剤などの化学物質や衣類の繊維など)が入り込むと、皮膚に炎症が起こり「肌荒れ」の状態になります。
生活が不規則になりがちで、休息が十分取れずに疲労が蓄積し、心理的/精神的なストレスの多い現代人の生活は、肌荒れを起こしやすい環境であるといえるでしょう。

 

肌荒れの対処法・予防法

「肌荒れの原因」で解説してきたように、現代の環境下では肌荒れが起きやすい条件が多くあるため、予防・対処するのは簡単なことではありません。それでも、できるだけ肌荒れが起こらないようにするには、以下のような点に注意して、生活の改善を心がけましょう。

 

  • 化粧品/基礎化粧品を見直す

    ヘパリン類似物質など肌のバリア機能改善に効果のある成分を配合した保湿剤をおすすめします。クリームタイプやローションタイプなど、いろいろなテクスチャーのものがドラッグストアなどでも販売されていますので、自分の肌状態に合うものを使うとよいでしょう。

    • 正しい洗顔法を心がけ、洗顔後は保湿をしっかりと

      洗いすぎや、タオルでゴシゴシこする、叩くなどの過剰刺激は、肌トラブルの原因になっている可能性があります。物理的な刺激をできるだけ避け、お湯ではなく、冷たくないと感じる程度のぬるま湯(約32℃~33℃)で洗うようにしましょう。洗ったあとは十分に保湿することが大切です。

      栄養バランスのよい食事

      皮膚は体全体の表面を覆う大きな器官であり、ターンオーバー(新陳代謝)も活発。そのため、必要となる栄養素の数も量も多いのです。具体的な栄養素としては、たんぱく質、ビタミン類(B2、C、A、E、ベータカロチン)、ミネラル(亜鉛、セレン)などが挙げられます。多くの栄養素が必要なので、特定の食品を意識的に摂取すればよいということではなく、栄養バランスの良い食事をすることが重要といえるでしょう。併せて、食事と同様に水分補給も非常に重要です。

      薬やサプリメントを利用する

      皮膚に必要なビタミンやミネラルは食事から摂取することが理想ですが、簡単なことではありません。そういう場合は、肌荒れの症状や状態に合った医薬品やサプリメントも上手に取り入れるとよいでしょう。

      定期的な運動

      適度な運動は自律神経のバランスを整え、腸の活性化にも良い影響を与えます。背骨から骨盤内につながっているインナーマッスル腸腰筋(ちょうようきん)を鍛えることで、便秘の解消にもつながりますので、ウォーキングやストレッチなどを生活に取り入れて、定期的な運動を習慣づけてみましょう。

      腸内環境を整える

      腸には全身の免疫機能の6~7割が集中しています。腸内に存在している細菌(善玉菌・悪玉菌・日和見菌〈善玉と悪玉の中間の菌〉)のバランスが崩れ、悪玉菌が増えてくると腸の動きが阻害されて食べたものが吸収されにくくなり、体にさまざまな変調をきたすようになります。肌荒れもそのうちの一つ。食物繊維や乳酸菌を食べることで腸内に善玉菌を増やすことが期待でき、腸内環境を整えることが肌荒れの予防につながります。

      心理的/精神的ストレスをためない

      心理的/精神的ストレスを感じているとき、体は緊張状態になっています。これは自律神経の中の交感神経の働きが活発になっていることを意味しており、これによって胃や腸の運動は抑制されます。胃腸の働きが抑えられると胃腸炎や便秘につながりやすくなり、老廃物が体内に蓄積してしまいます。また、交感神経は皮脂の分泌を促進させるので、ニキビができやすくなることがあります。にきびなどができることが更なるストレスとなり、悪い循環に陥ってしまうことも少なくありません。意識してリラックスする時間を設けるようにしましょう。


      改善しない・悪化する場合は病院へ

      市販薬などを使っても肌荒れが改善しなかったり、悪化してしまったりする場合は、根本的な理由が別に存在している可能性も考えられます。例えば、アレルギー反応による肌の炎症の場合は、アレルギー反応を起こしている物質を特定して取り除かないと肌荒れは改善しません。内科的な疾患が原因で肌にトラブルが起きることもあります。
      まずは皮膚科で検査を行い、その結果に応じて専門の科を紹介してもらうという方法が適切でしょう。

    • 今の自分の肌荒れ具合が気になる方用にチェッカーも作りましたので、よろしければこちらも。
    • https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdQ2BA6z7iSgX3oHFvH1hyfEDKyvGk_cevPH-b2CRuRvM2VZA/viewform